寒冷地におけるエコスタック設置がもたらす生態系保全機能の特徴と変遷

摘要

ダム建設工事や堤防の維持管理にともなう河畔林管理では，樹木の伐採は避けられない．しかし，これらの樹木は年月を経て，その存在そのものが重要な生物の生息場所や餌を提供する機能を果たしている．工事の進捗上，伐採材は完全に系外へ撤去されるが，生物の生息空間の消失に直結するため，伐採は地域生態系にとって重要な種の連続性を奪うリスクといえる．これらの影響を軽減するには，現地の動植物資源をコアとして有効に活用し，環境再生を図ることが生態系の連続性を確保するうえで重要といえる．