東日本大震災にみる交通信号施設復旧方法の問題点

摘要

わが国の交通流は、交通信号施設で管理されており、災害復旧作業における道路交通の役割は極めて大きい。そのため、交通信号施設の故障は致命的で、交通信号施設の早期復旧が被災者を助け、被災地の早期回復の役目を担っている。本報告では、災害復旧における制度的課題と技術的課題について言及したが、この大災害では、他に電話回線の不通や制御システムのダウンなどで交通流を制御できない事態も発生していた。これまでシステム全体が正常に機能している場合での制御方策は進歩を続けてきたが、一部の機能を喪失した状態が広域に及んだ場合の運用方法の方策、および対策は確立されていない。このような観点で、東日本大震災で得た教訓をもとに、例えば、管制センターと接続されている信号機を優先的に復旧していく方策や支援物資輸送や避難所を考慮した復旧方策、など都市災害時における交通信号システムの復旧方策について調査研究と方法論を今後まとめていく必要性があると考える。