自然由来セレン含有頁岩からの酸化剤を用いたセレン抽出方法の検討

摘要

建設工事等で排出された自然由来セレン含有土は，時間経過に伴ってセレンの溶出量が増加する場合がある．これは，地下の還元的な環境から，地上付近の酸化的な環境に変わることで，セレンの形体が土壌から溶出しやすいセレン酸イオン（酸化数+6）に変化するためだと考えられる．このため，掘削直後のセレン溶出量試験では土壌環境基準を下回っていても，地上に堆積して時間が経つにつれて溶出量が増加することがあり，自然由来セレン含有土を再利用する際にリスクが生じる．そこで，筆者らはあらかじめ酸化剤によって自然由来セレン含有土の酸化を促進してセレンを抽出除去する方法を検討している．本論では，酸化剤として過酸化水素および次亜塩素酸ナトリウムを用いてセレン抽出を検討した結果について報告する．