覗き見耐性を持つマウス操作と数字盤を組み合わせた個人認証方式の提案と評価

摘要

現在，オフィスやネットカフェなどの公共の場において個人認証が多く行われている．その認証方式としてキーボードを用いたパスワード認証が一般的だが，覗き見や録画による認証情報の漏洩が起こりうる．一方，その代替として生体認証が普及している．たとえば指紋認証の場合，指紋センサーが必要であるが，共有PC ではそれが搭載されていない．そこで本研究では，覗き見耐性を持ち，かつ公共の場において共有PC でも使用可能な認証方式を提案する．具体的には，マウスを用いて画面上に表示された数字盤内のセルを操作することで認証を行う．マウスを机の下などで隠しながら認証操作を行うことで，覗き見や録画に対する耐性を持つと考えられる．また，提案方式を実装し，アンケートによるユーザビリティ評価と慣れによる認証時間の変化，および覗き見耐性の確認について実験を行った．その結果，認証時間は約10 秒となり，覗き見によりすべての認証情報が漏洩することはなかった．