周波数センシングにおける位置ベースルーティングを用いた移動端末間データ集約

摘要

第5 世代移動通信システムにおける周波数資源利用効率向上を目指し，筆者らは既存無線システムに割り当てられているが使用されていない周波数帯の空きを発見し，共用するシステムについて研究開発している．実現には，様々な時刻と位置における周波数の利用状況を継続的にセンシングすることが求められる．そのため，一般ユーザが携帯するスマートフォン等の移動端末をセンサとして利用し，センシング結果を継続的にサーバへ収集する方式について検討を進めている[1]．センシング結果をアップロードする際には，LTE 等のセルラ通信の利用を想定しており，アクセス網へ与える負荷を軽減するため，できるだけデータ量を削減することが求められる．そこでアップロードの前に，ユーザの移動に伴い端末どうしが偶然遭遇する機会を利用して端末間通信することで，互いの持つデータを集約（例えば，複数データの平均値をとる等）し，データ量を削減する方式について検討している．一方で，端末間通信による通信負荷についても，移動端末のバッテリ制約や周囲無線環境への干渉等を考慮すると，できるだけ軽減することが望ましい．本稿では，データ集約の効果向上と端末間通信の負荷軽減との両立を考慮したデータ集約方式を提案する．