鎖樋の鎖連結数と運動の安定性に関する3次元数値解析

摘要

多重振り子やオイルフェンスなどのように鎖状の構造を持つものは様々な分野で見られる．多重振り子はカオス的振る舞いをすることが知られており(1)，非常に興味深い運動をする．また，ルアーや日本の伝統的な雨樋の一つである鎖樋などのように，鎖状構造物体が混相流中に存在する場合には密度の異なる流体の存在が，さらに複雑な運動を生じさせる可能性もある．このような混相流中の鎖状構造物体の運動の様子を調べるために，著者らはこれまでに鎖樋を対象として，まず2次元での数値解析(2)を行い，上部からの流水によって鎖樋を構成している連結された各要素どうしが逆位相に運動することを報告した．次に，3次元での数値解析(3)を行い，拘束条件の違いによる運動の差異について議論した．しかしこれらの報告では鎖樋を構成している要素の数を2, 3と限定しており，課題として，より多数の要素が存在する系での解析が挙げられていた．そこで本稿では，鎖樋を構成している要素の数を増やした場合の鎖樋の運動を3次元数値解析により議論する