ヒト皮膚分光反射率のデータベース構築と吸収・散乱パラメータ推定法の検討

摘要

ヒト皮膚は加齢や皮膚疾患などにより内部状態に変性が生じると，皮膚組織内における光の吸収や散乱の影響により光伝搬が変化し，皮膚表面の分光反射率も変化することが知られている．ヒト皮膚組織内部の光伝搬を定量的に解析することは重要であり，一般的に光伝搬モンテカルロシミュレーション(MCS)が扱われている1)．また，ヒト皮膚の内部状態を確認するためにヒト皮膚組織の各種パラメータの推定は重要である．当研究室では，ヒト皮膚の組織学知見に基づき考案した9 層構造皮膚モデルにおけるMCS を用いて，ヒト皮膚内部の吸収・散乱パラメータを推定する手法を構築してきた．現在，分光反射率データベースを構築し，データマイニング手法を用いて皮膚組織パラメータの推定を行っているが，同一の分光反射率に対して複数のパラメータの組み合わせが存在する問題点が挙げられる．そこで本研究では皮膚組織パラメータの推定法の検討を行い，推定精度の向上を試みた．