生体観測のためのコンパクトMRIシステム

摘要

MRI(Magnetic Resonance Imaging)は核磁気共鳴現象を用いた撮像法のことで，内部構造を非侵襲に観察できる装置として広く利用されている．近年，MRIは医療の現場だけでなく，植物や小動物などの内部構造の画像化に応用されている．このような微小試料を計測するためには，MRIの分解能の向上が求められる．そこで我々は分解能を向上させるために， 3 次元冶具を用いた勾配磁場マイクロコイルを提案した．これに対して，新たにアフリカツメガエルの卵母細胞の生体の変化の観測を MRI 応用にする試みをはじめている．アフリカツメガエルの卵母細胞は，形態形成の過程を解析するために多くの研究に用いられている．一般的に内部構造の変化を見る場合には，細胞をマイクロスライサなどで切断し観察を行う．そこで MRI へ応用することで，1個の細胞を生きたまま，内部変化を把握することができる．しかし，高分解能な画像を計測するには長時間を必要とする．また受信コイルによる発熱への影響がある．そのため MRI 計測時に細胞が乾燥しないように，長時間において細胞の保存が必要である．