fNIRS計測に基づいた注意維持に関わる脳領域推定手法の検討

摘要

近年，脳損傷などに起因する神経回路の回復を目的としたリハビリテーションであるニューロリハビリテーションが注目を集めている.現状では，運動機能に関する脳機能のリハビリテーションが中心であり，認知機能に対するアプローチは少数である.認知機能の中でも，注意の障害はQOLの低下に直結することから，注意機能を対象としたニューロリハビリテーション手法の開発が求められている.そこで本研究では，注意機能のニューロリハビリテーションの開発を目的として，fNIRS計測に基づいて注意の維持に寄与する責任領域を抽出するための実験手法と，それに適したfNIRS信号の解析手法について検討を行った.注意の維持および注意の割込による効果を確認した後，課題遂行中に計測されたfNIRS信号を解析した結果，頭頂部に注意の維持あるいは割込のいずれに対して賦活する領域が確認された.