デジタル画像相関法を用いた実構造物の変位測定

摘要

デジタル画像相関法で変位を計測する場合，計測対象物の変形前後を撮影した画像の変化から変位量を求めるので，撮影する領域はその2回の撮影間で異なってはならない．しかし，現実的にはこの条件が非常に困難である場合がある．例えば屋外での計測では撮影位置がカメラの固定しづらい場所も多く，風などの自然の影響も多少受けることになる．さらには計測途中にカメラに少し触れてしまうだけでも動いてしまい撮影領域が変わってしまう．また，計測が長期に及ぶ場合には，カメラを一度撤去し再度設置することになり，このような場合には完全に同じ位置，同じ方向に設置しなおすことは不可能に近い．これらの撮影位置のズレによる影響は計測対象物の変形結果に含まれることになる．この誤差の量が物体の変形量に対して無視していい程小さければ問題ないが，変形量を100分の数画素の精度で計測しようと考えた場合には無視できない大きさとなる[1］．このようにカメラの位置が変わってしまう ことによる精度低下を低減する事を目的とした研究が行われているが，本研究では実構造物の橋梁に対して射影変換を用いてカメラの位置補正を行う．荷重が与えられていない状態と，カメラの位置を動かして荷重が与えられた状態で撮影した2枚の画像において，荷重が与えられていない領域から射影変換に必要な係数を算出し，カメラの位置を動かして荷重が与えられた状態で撮影した画像に射影変換を用いるとカメラの位置を動かさず荷重が与えられた画像を作りあげる事が可能になる．その結果デジタル画像相関法の使用が可能になり正確な変位を計測することが可能になる．