非破壊試験における氷結模擬コンクリート試験片

摘要

非破壊試験では，試験片を用いて試験手法の有効性の確認をおこなうことがしばしばある．試験片は既知の幾何学的形状や特性を有しており，その形状や特性を評価し，試験方法の有効性を確認する．機械材料の非破壊試験では，試験片は一般に小型で，多種多様な試験片を多数製作しても，試験後の保管や廃棄が面倒になることはないが，コンクリートの試験片は一般に大型で，試験終了後にその保管や廃棄が面倒になることがある．例えば，空隙欠陥を導入した試験片の欠陥探査では，欠陥の多様な形状や多様な位置に対する試験が必要である．しかし，このような試験の終了後は，廃棄試験片の山ができる．また，コンクーリート試験片は硬化に数週間を要し，試験片の形状変更が必要になると，試験期間を数週間延長する必要が生じる．本論文では，モルタル試験片やコンクリート試験片のセメント部分を氷に置き換える模擬試験片（氷結模擬モルタル／コンクリート試験片）を考案した．氷結模擬モルタル／コンクリート試験片は，一晩の冷却で製作可能で，さらに，融解·凍結を繰り返すことによって，再利用が可能である．本論文では，氷結模擬モルタル／コンクリート試験片の特性を評価し，円板状空隙欠陥に対する固有振動数を測定した．