モリブデンを滑り面に溶射した滑り型免震支承に関する実験的研究( その3 ）静止摩擦係数測定実験結果を用いた準ニュートン法による滑り面における動特性の推定

摘要

滑り面の摩擦係数は，静止摩擦係数，動摩擦係数および粘性定数により決定される．実験により粘性定数を測定することは困難であり，正確な静止摩擦係数および動摩擦係数を得ることが難しい状況である．　このような背景から，本研究では同定手法を用いることにより，本研究で考えている滑り型免震支承の滑り面における静止摩擦係数，動摩擦係数および粘性定数を推定することを目的としている．　本研究では，滑り面に耐候性や耐摩耗性のある金属材料を溶射することにより，滑り面の経年劣化および摩耗がほとんどなく，滑り面の管理が容易な滑り型免震支承の開発を目指している．また，溶射膜厚を変更することにより，静止摩擦係数や動摩擦係数も変更可能な滑り型免震支承を目指している．本報告ではモリブデンを溶射した滑り面に対して実施した静止摩擦係数測定実験結果を利用して，静止摩擦係数，動摩擦係数および粘性定数を推定した結果について述べる．