Vibration Alert Interface のための神経モデルを用いた振動順応モデル

摘要

我々は振動の周波数の違いによりユーザに情報を伝達するユーザインターフェースVibration Alert Interfave (以下VAI と呼ぶ) の研究を行っている．VAI は既存の振動のON/OFF による情報伝達ではなく，周波数を変化させることで，ユーザにアナログ的な情報の伝達を行う装置である．情報伝達の手段として視覚や聴覚を利用したものが一般的であるが，振動による情報伝達は周囲の照明や雑音などの外乱に対して頑強であり，特定ユーザのみへ情報伝達できる点や，さらに装置の小型化·軽量化の点において優れている．そのため，触覚による情報伝達としてベルト型のナビゲーション[1] やパイロットへの補助として飛行情報呈示の研究[2] などがなされている．このように，触覚による情報伝達装置の研究は数多くなされているが，多くの研究は振動の提示場所や提示方法に焦点を当てた研究がほとhどである．装置を通してユーザが認識する情報は，外乱によらず正確かつ瞬時に情報を得られることが望ましく，筆者らはこれまでに手持ち型の装置において把持力が変化した時，振動感覚が変化することを明らかにし，その振動感覚の変化を把持力による皮膚変形を考慮した補正周波数で振動させることで補正している[3]．把持力以外に振動感覚へ影響を与える外乱として，振動感覚の慣れがある．振動が変化する場合，変化後の周波数が一定であれば同一の振動強度を感じることが正確な情報提示に繋がるが，変化後の周波数が一定でも，変化前の周波数によって振動強度感覚が異なることが明らかとなった．このような順応によらない振動による情報伝達を，振動の順応をモデル化し，それをVAI の周波数にフィードバックすることで実現する．