微粒子衝突法を用いた内燃機関用ピストンの高強度化

摘要

自動車を代表とする，内燃機関用のピストン（以下ピストンと称す）は，その機能から高温環境で燃焼圧力を受けながら高速で往復運動を繰り返す，そのため，高温環境に於いて高強度である事が要求される．その一方，低燃費を実現する為には，薄肉化等によって軽量化する事が要求され，高強度と軽量化という，相反する特性が求められる．特に環境問題に対する社会の感覚が鋭敏化した今日にあっては，より一層燃費向上技術の要求が高まっている．その様な要求を達成する為，例えば材料組成変更による，新材料の開発によって，高温強度向上を図る試みが行われている．しかしながら，高温強度向上させる成分添加によっては比重増加影響により，期待の軽量化効果が得られない等の課題がある．そこで，微粒子衝突法（Fine Particle Bombarding Process：以下FPB処理と称す）を用いる事で，材料成分及び形状の変更を行なう事無くピストンの高強度化の試みを行い，ピストンの使用温度領域に於いても性能劣化を起さない，現象及びメカニズムを解明し，ピストン単体試験及び，エンジン実機試験にて，高強度化達成を確認したので報告する．