MINMOD 法による非アファイン粘弾性管内流における乱流抵抗低減機構の研究

摘要

乱流場を抑制し抵抗を低減させる方法が数多く開発，研究されてきたが，その一つの例として高分子添加溶液が挙げられる．Toms(1949)により乱流状態のニュートン性流体に微小量の高分子を添加することにより，抵抗低減効果が得られることが発見され，それ以降抵抗低減機構に関する研究が精力的に行われている．数多くの研究者が色々なアプローチを用いて高分子添加溶液における抵抗低減効果の原因について研究を行っているが，代表的な理論としてLumley(1969)とde Gennes(1986)が挙げられる．Lumley は伸長粘度の増大が乱流場の伸長を抑制することを挙げ，de Gennesは弾性効果の発生により乱流のカスケードの抑制が起こることを挙げたが，定量的な解析を行っている研究は多くない．さらにde Gennesは伸長された高分子はrigidなrod状の構造を有しており，局所的な溶媒に対する追随性(affine性)が消失する可能性を指摘している．Zakin et alは陽イオン界面活性剤の高濃度添加溶液で実験を行い，Virkの最大抵抗低減極限を越える抵抗低減率が得られることを示した．界面活性剤はrod状のミセルからなる構造を有しており，affine性が消失している可能性がある．