次世代核医学診療に対応可能なRI施設の構築

摘要

Positron Emission Tomography(PET)およびSingle Photon Emission Computed Tomography(SPECT)からなる核医学診断法は,放射性核種を標識した薬剤の薬物動態を体外より検出•画像化することにより対象標的組織の機能を非侵襲的•定量的な評価を可能とする画像診断法であり,これまでに様々な核医学診断用の放射性診断剤が開発され,日常診療に用いられている.中でもPET診断は,[~(18)F]FDGの健康保険診療が始まって以来,国内における検査件数が急増している.また最近では欧米を中心に,従来用いられてきたいわゆるPET4核種(~(11)C,~(13)N,~(15)O,~(18)F)に加えて,新たなPET核種(~(64)Cu,~(68)Ga,~(89)Zrなど)を標識した薬剤が開発され,臨床利用されている.ところで,PET診断に用いる放射性診断剤(PET診断剤)は,標識するm核種の半減期が短時間(~(11)C∶20分,~(13)N∶10分,~(15)O∶2分,~(18)F∶110分)であるため,基本院内に設置する医療用サイクロトロンにて目的の核種を製造した後,ホットラボ室(高放射能RIの取り扱いが可能な部屋)に設置したホットセル(鉛等で遮蔽したチャンバー)内にて,合成装置を遠隔操作してPET診断剤を製造する,いわゆる院内製造にて薬剤を供給する必要がある.