SSPS(Space Solar Power System)や降水観測レーダーに用いられる大型フェーズドアレイアンテナに代表される次世代の超大型宇宙構造物は,輸送手段の制約から軽量かつ収納性が高い展開構造物が主体になると予想される.展開構造物の厚みの存在が無視できる場合は,折り紙工学により近年様々な折り紙理論が数理学的に発展し,大面積を非常にコンパクトに収納する方法が報告されている.一方で厚みの存在が無視できない場合は,一般にスリットや折り線の位置を工夫することで収納可能となるが,平面パネル方式のSSPS や大型フェーズドアレイアンテナに要求される展開後の平面精度と大型化への拡張性を鑑みると工学的に応用することは難しい.厚みのある平板構造の平面精度を保つ実用的な折りたたみ方法として,ミウラ折りを応用した方法が提案されている.折り線となる部分にスリットではなくV溝状の切り込みを入れて干渉部を排除し,折り線を板厚方向に傾斜させることにより板厚を有する平板の折りたたみを可能にしている.また展開構造物の中には,パラボラアンテナ反射鏡面のように表面形状に超高精度が要求される構造物も考えられる.宇宙観測や宇宙利用ミッションの高度化や信頼性向上の趨勢に伴い要求精度はさらに高まると予測され,展開後の構造物が要求精度を満たしているかを宇宙空間で確認する必要がある.表面形状計測には,複数のカメラ映像によるステレオ視やレーザー変位計を用いた計測法が広く用いられている.観測表面に特定のターゲットを設置してステレオ視する方法は,簡易なシステムである反面,得られる情報は特定の点の距離や座標位置に限られる.レーザー変位計を用いた計測法は一般に,計測精度が高い反面,面積が大きくなるほど計測に時間がかかる.これらの問題に対処する方法として格子模様を用いた表面形状計測法を利用することを提案する.計測対象に格子を投影,貼付または描画し,その格子模様をカメラで撮影することで非接触に表面形状を計測する方法であり,機器構成が簡便で計測時間が短く,面計測(超多点計測)できるという特徴がある.
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