東京圏における在宅勤務の拡大にともなう業務生産性及び鉄道利用への影響分析

摘要

2020年3月以降の新型コロナウイルス感染拡大にともなって多くの企業で在宅勤務が導入され，鉄道の利用者が大幅に減少した．本研究では東京圏を対象に，携帯電話の位置情報を用いて感染拡大後の滞在人口分布の変化を分析するとともに，都心部への通勤者を対象にアンケート調査を実施し，在宅勤務の実施状況や生産性，鉄道サービスに対する意識などを把握した．その結果，都心部などの従業地で滞在人口の減少が顕著であること，在宅勤務の生産性は職場より低下したという回答が多く，その要因として対面のような素早い情報交換が困難なことなどが挙げられた．また，鉄道サービスに対しては，望ましい混雑率が100%以下の回答が約半数に達し，混雑緩和に対するニーズが高いことが示される一方，そのための費用負担については，負担が高まるほど勤務先に求める割合が高いことがわかった．