金属含有PLA 樹脂を用いた3 次元プリンタ造形物の強度評価：トライボ材料への適用

摘要

近年,軸受や歯車など滑り面に低摩擦係数?低摩耗性が求められる摺動材として樹脂部品が増加傾向にある.また,プラスチック成形の分野において低コストで容易に成形可能である3D プリンタが普及し,少しずつ身近な存在になってきている.3D プリンタ造形の材料として使われる樹脂はABS(アクリロニリル, ブタジエン, スチレン)樹脂とPLA(ポリ乳酸)樹脂の2 種が主に使われている.ABS 樹脂は粘りがあり、耐久性、耐衝撃性、耐熱性が高い利点があることから以前から工業のプラスチック素材として幅広く使用されているが,石油由来のプラスチック素材であるため製造過程において環境に悪影響を及ぼすものである.しかしその一方で,地球温暖化や石油資源枯渇という近年の環境意識の高まりの流れから石油由来に変わる存在として植物由来のプラスチック素材PLA樹脂がおよそ20 年前開発された.PLA樹脂のような植物由来材料は生成過程においてカーボンニュートラルという特性がある.また,焼却処理した際に発生する二酸化炭素は植物が成長する過程で吸収した二酸化炭素が放出されるだけであるため,二酸化炭素の総量は増加しないなど非常に環境に良いプラスチック材料である.