固体高分子形燃料電池における自己水管理型セパレータの開発バイパス流路の最適化

摘要

固体高分子形燃料電池(PEFC)は，電解質であるプロトン交換膜と白金触媒層，ガス拡散層が一体成型された膜電極接合体(MEA)をセパレータで挟みこむことで構成されている．このMEAは湿潤状態でのみ優れたプロトン透過性をもつため，PEFC は供給ガスを加湿して運転しているが，この加湿器に要するエネルギーは大きく，システム効率を下げる原因になっている．そこで本研究室では，セパレータ構造の改良により流路内に生成する水を再利用することで加湿器を用いず，システム効率の向上とシステムコストの低減を図ることを提案している．先行研究では，セパレータ内にバイパス流路を設けた自己水管理型セパレータ(SWMS)が考案され(1)，バイパス流路内に綿を詰めることで，濃度拡散と毛細管現象によって過剰水部から乾燥部へ水が移動可能であることを確認している．そこで本研究では，バイパス位置の最適化と充填する吸水材料の選定を目的とする．