冷却壁面に対して平行な基底面をもつ氷結晶の成長界面の観察

摘要

水の凝固現象は，食品冷凍や凍結濃縮などの食品加工を主として多岐にわたる分野で応用されている．そのため，水の凝固過程に関する研究が数多くなされてきたが，不安定な界面形状を伴う凝固過程の現象は複雑で明らかになっていないことが多い．その中でも特に，冷却壁面に沿って成長する氷結晶の挙動に関する議論は少ない．これまで，寺岡らが提案した金属箔ベルト連続製氷装置(1)を用いて得られる板状氷は，基底面と冷却面が平行な結晶状態に移行しやすいこと，その平行な結晶状態は，その他の結晶状態に移行することは少なく，持続して成長することが東野らによって示された(2)．横山らは同装置を用いて冷却壁面に沿って成長する氷結晶の成長界面を観察し，結晶方向と結晶状態により結晶セル形状が大きく変化すること，結晶セル形状によっては結晶方向変化を伴いながら成長することを確認した(3)．しかし，基底面と冷却面が平行な結晶状態を有する板状氷の成長界面に関する議論は不十分である．