凍結による管閉塞を防止する排水管の開発

摘要

東北?北陸地方に代表されるような積雪の多い寒冷地では，たとえ真冬日であっても，屋上の積雪は建物の暖房の熱によって融解する．そのため排水管を通して，これを地上へと排水する必要がある．しかしながら，外気温が著しく低下している場合には管内で排水が凍結し，管閉塞が生じることがある．この管閉塞により，管破損や継手からの漏水，最悪の場合には建物内への漏水を引き起こすことがある．このような，排水の凍結による管閉塞を防止するために，一般的に用いられているのが紐状ヒーターであるが，ランニングコストやメンテナンスコストが大きいことが欠点である．そこで著者らはヒーターなどの熱源を用いずに，排水の凍結を抑制し，管閉塞を防止することを目指し研究開発を続けている．水道管の凍結現象のように，管内を満たした状態で流れる水の凍結現象や管閉塞に関する研究例は数多く報告されている(1)，(2)が，本研究のように，排水管内壁を伝うように流下する極少流量の水の凍結や管閉塞に注目した研究例は著者らの調べる限りにおいて見当たらない．本論文では，通常の排水管における管閉塞現象の再現実験と開発した排水管による凍結抑制効果の検証実験，および排水流出部の形状改良による凍結抑制効果の改善結果について報告する．