ISDB-Tのデータシンボルとパイロットシンボルに次世代地上波放送を階層分割多重化する方式の特性評価

摘要

地 上 波 4K 放 送 シ ス テ ム は ， 米 国 のATSC3.0(Advanced Television Systems Committee 3.0)により標準化されている[1]．国内では，地上波 4K・8K放送についてはまだ研究段階であり，実用化の段階として，現行の地上波放送チャネルを活用して地上波 4K放送への移行方法の検討が求められている．この要求を満たす伝送方式として， ATSC3.0 でも規格化されたLDM(Layered Division Multiplexing)方式を ISDB-T(Integrated Service Digital Broadcasting -Terrestrial)と組み合わせる方式が提案されている[2]．この方式は，現行の地上波放送への影響を最小限にして，高電力階層(UL:Upper Layer)に ISDB-T，低電力階層(LL: Lower Layer)に次世代地上波放送を配置する方式であり，伝送容量の増大が期待されている．そこで本稿では，さらに伝送容量を増大させるため，データシンボルに加えてパイロットシンボルにも LDM を適用した場合の伝送方式に関する検討を行い，マルチパス環境における伝送特性を評価した．