冬季雷地域に建設された風車における落雷特性: 2014年から2019年までのデータに基づいた検証

摘要

近年，地球温暖化の進行に伴い，二酸化炭素の排出を抑制することのできる再生可能エネルギーの導入が進hでいる(1)。その中でもスケールメリットの観点から，風力発電設備は設置基数と総設備容量の増加が著しい(2)。風車は尾根沿いや沿岸部のような風況の良い場所に設置されることが多く，かつ，風車の大型化に伴い落雷による被害の発生確率が高まつている(3)。特に日本海沿岸部で発生する冬季雷は，電荷量が大きく，高構造物に落ちやすい特徴を有しているため，風車の雷被害は深刻な問題となっている(4)。これを受けて新エネルギー発電設備事故対応•構造強化ワーキンググループが設置され，2015年に「発電用風力設備の技術基準の解釈について」が改正された。その中では(1)冬季雷地域に風車を建築する場合は少なくとも，600 C以上の雷に耐えれるように設計すること，(2)雷保護の効果が高く，かつ容易に脱落しないようにレセプタを設けること，(3)風車への雷撃があった場合直ちに風車を停止できるよう非常停止装置等を施設することが新たに明確化された(5)。その結果，冬季雷地域にある多くの風車に落雷検出装置が設置され，風車への落雷特性を調査する手段のーつとして利用できるようになった。