アルカリ薬液を再利用した反応晶析の検討と リチウムイオン電池用正極材料への適用

摘要

リチウムイオン二次電池用正極材料である Li(Ni,Mn,Co)O2（以下、NMC活物質）は、容量、コス ト、サイクル特性に優れており、民生用途のみならず 車載用途としても適用範囲が広がっている。NMC 活 物質は、粒子形態や微細構造の制御が可能である等 の観点から、工業的には反応晶析法により作製した (Ni,Mn,Co)複合水酸化物(以下、NMC 前駆体)から合成 されることが多い。しかしながら、晶析時に中和剤と して用いられる水酸化ナトリウム水溶液の価格が、近 年の工業的ニーズの高まりから上昇を続けているため、 使用量の削減によるコスト競争力の向上が求められて いる。本報告では、晶析後の前駆体スラリーろ過時に 生成するろ液を中和剤の一部として再利用することに より、水酸化ナトリウム水溶液の使用量低減を試みた ので、その結果を報告する。