アルカリ水電解用鉄系酸素発生触媒の開発

摘要

環境問題·エネルギー問題の解決のため、化石燃 料に依存しない持続可能なエネルギーシステムの開 発と普及が求められている。近年クリーンなエネル ギー源として風力·太陽光などの再生可能エネル ギーが注目を集めており、風力/太陽光発電で得た 電気を用いた水の電気分解(水電解)によりエネル ギーキャリアである水素を製造し、それを貯蔵·運 搬し消費地にて燃料電池などに使う"Power to Gas"のアプローチが提案されている。そのため安価で高 活性、高耐久な水電解用電極触媒の開発が望まれて いる。我々は、複合酸化物SrRuO3をプレカーサー として電気化学的に活性化することで、アルカリ水 電解のカソード反応に対して白金と同等の触媒活性 および圧倒的に高い耐久性を示すことを見出した1)。 しかし現状の水電解においては、アノードの酸素発 生反応(OER)の過電圧が大きいことが課題であり、 高活性で高耐久なアノード触媒の開発が求められる。 最近我々は、安価で汎用的な鉄とカルシウムを含む 複合酸化物CaFe2O4が優れたOER 活性を有するこ とを示した。本研究では、密度汎関数(DFT)計算 によりCaFe2O4の高いOER 活性を議論する。