タンパク質硬さを考慮した双性イオンポリマー精密修飾膜の アンチファウリング特性評価

摘要

水処理膜は世界的な水不足の解決に向け注目を集め ているが、原水中の不純物(ファウラント)が膜表面に吸 着することで膜の透水性が低下するファウリングが問 題となっている。ファウリングは原水中の有機物や微 生物など様々な物質によって引き起こされるが、その 中でもタンパク質は基礎的なファウリングの因子であ る。また、ファウリングの抑制には親水性ポリマーの 修飾による膜表面の親水化が有効であり、特に親水性 の高い双性イオンポリマーの膜表面修飾は効果的であ る。当研究室ではこれまで困難であった修飾ポリマー の分子量·密度の精密制御法の構築に成功している1。 しかし、この精密修飾膜のアンチファウリング特性は ウシ血清アルブミン(BSA)でしか評価しておらず、表面 精密制御が他のファウラントに与える影響はまだ明ら かになっていない。そこで、本研究では、双性イオン ポリマーの一種であるMPC ポリマー(PMPC)の精密制 御修飾膜に対して、異なる表面荷電や硬さのタンパク 質を用いた静的·動的なファウリング試験を行い、 PMPC 精密修飾膜のアンチファウリング特性を明らか にすることを目的とした。