有機溶媒系ナノ濾過に用いるポリアミド6中空糸膜の作 製及び評価

摘要

Organic Solvent Nanofiltration (OSN)は有機溶媒中で分 子量 100-2000 の溶質を膜により分離する技術であり、 他の分離法に比べエネルギー効率が高く運転コストが 低いことから、化学、製薬工業などでの応用が期待さ れている。膜材料にはこれまでPolyimide (PI), Polybenzimidazole (PBI)といった高価なポリマーが検討 されてきたが、当研究室では、安価な汎用ポリマー でありながら、耐溶剤性に優れるPA6素材に着目 し研究を行っている。特に中空糸の製膜時の芯液組 成を最適化することにより、膜全体としてはTIPS 法での液-液相分離による均一多孔質膜でありなが ら、中空糸膜の内表面にナノ領域の分画性能を持つ スキン層を形成させることが可能となることを見出 し、PA6非対称型中空糸膜がOSN用途に有用であ ることを先の化学工学会学生発表会で報告した。 [1]今回は、よりOSNとしての特性を明確にするた めに、長時間の性能安定性の確認、並びに多種溶媒 での性能評価を実施した。また、更なる分画性能、 耐圧性の向上を狙い、製膜後の中空糸膜の後処理 （アニール処理、延伸など）の影響を評価した。