建築物の水害対策に関する近年の洪水被害を踏まえた考察: 日本建築学会の提言に添えて

摘要

わが国は、海に囲まれた狭小な国土にあり、台風や前線に伴う豪雨も多く、古来より河川の氾濫等の被害を受けつつ対策を講じてきた。次第に治水インフラの整備も進み、一定の降雨の範囲では、洪水被害が抑えられるようになつてきた。しかし近年、過去に経験することが稀だつた豪雨により、堤防が決壊するなどにより大きな水害に至ることも頻発している。この原因のーつとしては気候変動に伴う気象現象の激化や変化であるが、一方で洪水リスクを考慮しないまちづくりが進められてきたことも大きな要因であろう。