Alloy617のクリープに伴うスモールパンチ試験特性の変化

摘要

近年ではCO_2排出量削減や省エネルギー化のため火力発電プラントの高効率操業が求められている．高効率操業にあたっては蒸気条件の高温高圧化が必要であり，主蒸気温度700°Cを目指すA-USC（Advanced Ultra-Super Critical）発電プラントでは大幅な発電効率の向上が期待されている．しかし，クリープ強度や耐酸化特性などの観点から高Crフェライト系耐熱鋼などの従来材をそのまま高温部位に使用することは困難であり，より耐熱性に優れたNi合金の適用が検討されている．候補合金のひとつであるAlloy617はMoの固溶強化に加え，γ’相やM_(23)C_6， M_6Cの析出強化により優れた高温強度を実現している．しかし，ボイラ配管等の大型部材に適用した経験がこれまでなく，製造性や加工性，溶接性等はもとより，実用化にあたっては損傷検出や余寿命診断のための新しい技術の開発も不可欠となる．ボイラ配管のクリープ特性を定期検査時に精度良く評価するには，構造健全性が損なわれない程度の小さなサンプルを採取しクリープ試験を行うことが重要となる．微小サンプル試験法のひとつに小型ディスク状試験片を用いたスモールパンチ（SP）クリープ試験法があり，ミニチュアクリープ試験法よりも試験片体積がさらに小さく，試験片作製や試験方法が簡便であるという特徴を有している．