パンチプレス加工後のCFRP積層板の有孔圧縮強度と破壊形態

摘要

高比強度，高比剛性など優れた特性を有するCFRPは 航空機や自動車などの構造用部材に適用されており，今 後もさらなる適用拡大が見込まれる.一般的に大量生産 される部材の成形加工に許容されるタクトタイムは短 い.特に2次加工として，締結や軽量化のための円形お よび異種形状の穴あけやトリミングが要求される.これ までに著者らは，CFRP積層板のせh断を利用した機械 加工に注目して汎用なパンチプレスによる穿孔加工を 実施し，加工条件と加工品位の関係や加工メカニズムに ついて基本的な知見を得てきた.さらに実用的な観点 から，穿孔などを加工した部材の長期信頼性を確保する ことは重要である.例えば航空機構造では主翼などの桁 材にCFRP積層板が採用されているが，一方向性CFRP 積層板の圧縮強度は引張強度の50%~60%程度であるた め，曲げを受ける場合には圧縮側から先行して破壊が生 じやすく ，圧縮強度が実質的な強度基準になることが多 い.特に需要の拡大に伴い，用途によってコストの観 点からユーザーが求める加工品位も異なるため，それに対応した加工品位と強度特性との関係を明らかにすることは重要である.