光ビーコンから収集されるアップリンクを用いた右折交通流に対する交通順応制御の実証実験

摘要

わが国において交通管制システムにて活用されている信号制御方式を分類すると図1のようになる。そのなかでも，右折需要の多い流入路に対しては交通感応制御に分類されるギャップ感応制御が最も効果的であると考えられており，適用事例も非常に多い。しかし，ギャップ感応制御では当該流入路以外の交通状況を考慮した判定ができないため，交差点需要率が高い場合はギャップ感応制御では交差点全体を考慮した制御パラメータの決定ができない。一方，交差点全体を考慮した制御パラメータの決定は交通順応制御により実施されるが，2000年以降プログラム形成制御に分類されるMODERATO制御が全国に展開されている。この方式は信号現示毎の交通量および待ち行列台数を入力とするが，右折需要の多い交差点流入路において右折専用車線上の車両感知器よりも上流に待ち行列が延伸した場合，その行列には全ての方向に進む車両が含まれることになり右折の交通需要を把握できない。このため，右折現示をMODERATO制御でのパラメータ算出対象とすることができない。筆者らは，方向別の交通量など交通流動が把握できるというプローブデータの特長に着目し，プローブデータを活用した右折現示も算出対象可能なMODERATO制御を提案し，その有効性を交通流シミュレーションにより確認した。この制御方式は光ビーコンから収集されたアップリンクデータも入力とすることができるため，実際の交差点に適用することで提案手法の有効性を確認する。本稿では，その実験結果として渋滞長時間，制御パラメータおよび推計した右折分岐率を評価分析することで，制御方式の有効性を検証する。