布地評価用2次元掃引型摩擦感テスタの開発

摘要

布地は衣服や寝具、自動車のシートなど人の生活空間に数多く存在しており、用途により必要とされる摩擦特性や風合いが異なる。人は触覚から摩擦感覚や風合いを感じ取つている。布地において感性と物理量の関係を結びつける試みは多く行われているが、布地の特性を客観的に判断する手法は確立されていない。摩擦感の客観的評価に用いる装置の例としてカトーテック製摩擦感テスタ(KES-SE-SR-U)がある。この装置は、一軸ステージに布地等の測定対象を固定し、設定された荷重で接触するセンサへッドを布地に接触させ、一軸ステージを60mm移動させた際の摩擦力および表面粗さを測定する。これらの測定値からMIU(平均摩擦係数)、MMD(摩擦係数の平均偏差)、SMD(表面粗さの平均偏差)を算出している。同装置を用いてニット地の摩擦特性評価や官能評価と物理量を結び付ける試み等が行われている。しかし、測定対象布地の種類や形状に制限が大きいこと、布地の摩擦特性は掃引方向やセンサへッドの接触部の形状で大きく異なるが同装置は測定方向が一次元で限定的であるという課題がある。