皮膚湿潤測定のためのピストン式静電センサの検討

摘要

皮膚は外界からのバリア機能などを有する一つの臓器と言われており，皮膚機能を正常な状態で維持することが重要である．そのためには，皮膚状態を診断及びモニタリングすることが必要である．現在，水分量や硬さなど様々な皮膚診断装置が確立され，利用されている．特に，水分量は皮膚機能の評価において重要なパラメータの一つであり，様々な手法により，水分量測定が行われている．その中でも，インピーダンス測定により角層を中心とした皮膚の水分量測定が広く行われている．しかし，インピーダンス測定では，角層以外の部分の影響も受けることから，皮膚の深さ方向についての測定精度は十分であるとは言えない．そこで，本研究では，皮膚の深さ方向に対するより詳細な湿潤度を測定するシステムの開発を目指している．そのために，静電気測定をもとにした湿潤度測定手法を提案した．本手法は，提案センサを皮膚に接触·離反させることで生じる電圧を測定することで湿潤度測定を行おうとするものである．実際に提案センサにより，ヒト前腕の湿潤状態を変化させたときの測定を行い，提案センサによる湿潤測定の可能性を示した．しかしながら，測定において，ロボットアームを用いた大掛かりなシステムで行っていたため，様々な環境や複数の皮膚の部位での測定が困難であった．そこで，今回，様々な環境での測定を行うために，ピストン式のハンディタイプ湿潤測定装置（1号機）を製作した．