側鎖に籠型シルセスキオキサンを含むポリ(3,4-エチレンジオキシチオフェン) の合成と物性

摘要

最近、導電性高分子が熱エネルギーを電気エネルギーに直接変換できる熱電変換材料に応用できることが見出され、利用されずに棄てられている大量の熱エネルギーを有効活用できる革新的技術として産官学の多くの研究者から高い関心を集めている。熱電変換効率は、素子の内部抵抗を決める電気伝導度 (σ)、温度差あたりの出力電圧を決めるゼーベック係数 (S)、熱の流れに対して維持できる温度差を決める熱伝導度(κ) に支配され（T は平均の作動温度）、これらの因子から導かれる無次元性能指数(ZT = S2σT/κ) が大きい材料ほど熱電変換性能に秀でているということを意味する。すなわち、優れた熱電変換特性を示す（高い ZT 値を有する）には、「高い電気伝導性」、「高いゼーベック効果」、「低い熱伝導性」の3 つの特徴を併せ持つ材料が望まれ、実用化のためにはZT 値が 1 以上 (ZT ≧ 1) という目標値が掲げられている。