アルケニルボロン酸エステルのラジカル共重合と側鎖変換反応を鍵とする新規共重合体合成

摘要

ビニルポリマーは合成化学工業において必要不可欠な材料であり、効率的な合成法の確立や新規機能の創出に向けた幅広い研究が行われている。その中でも多様なモノマーを用いたラジカル共重合はそれぞれの側鎖に由来した機能をポリマーに付与できるため、種々の用途に適合した高分子材料の開発において鍵となる。しかし、共重合の可否は各モノマーの反応性に強く依存するために、合成可能なコポリマーは制限されてきた。一方で我々は最近、イソプロペニルボロン酸ピナコールエステル(IPBpin)がラジカル重合のモノマーとして利用可能であり、高分子反応での炭素-ホウ素結合の切断を介してボロニル側鎖を他の官能基に置換可能であることを明らかにした。我々は上記の側鎖置換に基づく戦略を利用することで共重合体合成における制限を克服できると考え、本研究においてIPBpin のラジカル共重合特性に関して詳細に検討すると共に側鎖置換反応による新規共重合体合成を行った。