高温、直流高電界下でポリジシクロペンタジエン内部に蓄積する空間電荷分布の計測

摘要

本論文では、炭化水素系熱硬化性樹脂であるPDCPの空間電荷の蓄積に着目し、髙温髙電界下における空間電荷分布の測定を行った。また、通常のPDCP (P-Neat)に加えて、酸化防止剤(BHT)を2Phr添加したP-BHTと、同じ熱硬化性榭脂であるエポキシ樹脂(E-Neat)についても測定を行い、空間電荷挙動の比較を行った。さらに、熱劣化が空間電荷挙動に与える影響を評価するため、160°Cでの加熱処理を施した各試料(P-Neat-H， P-BHT-H, E-Neat-H)も用意し、同様に測定を行った。その結果、以下の知見が得られた。(1) P-Neatでは、両電極近傍にホモ空間電荷の蓄積が確認された。また、加熱処理を施したP-Neat-Hでは、P-Neatと比較して、蓄積電荷量が多くなることが確認された。(2) P-BHTでは、電圧印加直後から陰極近傍に正電荷の蓄積が確認された。また、加熱処理を施したP-BHT-Hでは、電圧印加時間が経過するとともに陰極及び陽極近傍に正、負のへテロ空間電荷の蓄積が確認された。(3) E-Neatおよび加熱処理を施したE-Neat-Hでは、陰極近傍に正電荷の蓄積が観測されたが、P-Neat、P-BHTと比較して、熱処理による電荷挙動の変化は少なかった。