ポリシルセスキオキサンの粘着剤·接着剤への応用

摘要

シリコーンの類縁化合物であるシルセスキオキサン化合物は、成形性、柔軟性並びに反応 性を付与する有機成分をモノ置換体として有し、耐熱性、耐候性、機械的強度の向上をもた らす無機のシロキサン構造を併せ持っている。さらに、有機成分と無機成分は分子レベルで のハイブリッド構造を形成することから、均質な物性を示す機能性有機-無機ハイブリッド材 料としての展開が期待され、近年、様々な研究が報告されている。シルセスキオキサンは 一般式RSiO_(3/2) で表され、カゴ型[ヘキサシルセスキオキサン(T6)、オクタシルセスキオキサ ン(T8)、デカシルセスキオキサン(T10)など] やダブルデッカー型などのオリゴマー(POSS; Polyhedral oligomeric silsesquioxane)と、より高分子量のラダー型や不定形のランダム構造を含 むポリシルセスキオキサン(PSQ; Polysilsesquioxane)とに大別される(Figure 1)。著者らは、 上記のシルセスキオキサン化合物の中でも、分子量の変化が種々の物性に反映されると期待 されるPSQ に着目し、機能性付与とその手法の確立を目的として研究を進めている。