田辺湾における有機スズ化合物の汚染実態

摘要

船底塗料等に含有する防汚塗料として使用されていたトリブチルスズ(TBT)やトリフェニルスズ (TPT)化合物は水中の濃度が1ng/L で、貝類に対し奇形やインポセックス（雌にペニスが生える現象） を引き起こすため、我が国では1990 年に「化学物質の審査及び製造等の規制に関する法律」（化審法） でTBT とTPT が特定化学物質に指定された。しかし、その後の調査結果から、有機スズ化合物の汚 染の改善が認められなかったため、国際海事機関（IMO）加盟国間で、2008 年9 月17 日以降船体へ のTBT の塗布を禁止した。本発表では、田辺湾において有機スズ化合物の濃度を測定することで、汚 染の現状を把握するとともに、かつて高濃度に汚染されていた東京湾周辺の港湾域と比較することに より汚染のレベルを評価することを目的とする。