水田土壌の水管理の違いが土壌中カドミウム形態および微生物群集活性 に及ぼす影響

摘要

水田土壌の汚染元素の中でもCd とAs は特に毒性が高く、対策が急がれる元素である。Cd は酸化 的な条件下で溶出量が増加し、As は逆に還元的な条件下で溶出量が増加する特性を持つ。したがって、 水田土壌におけるこれらの元素の毒性を低減するためには、それぞれの元素に適した水管理を行う必 要がある。しかしながら、還元状態の進hだ湛水状態の水田土壌と、酸化的な環境である落水状態の水 田土壌では、土壌微生物群集やそれらが担う物質循環も大きく異なる。また、Cd とAs に複合汚染さ れた水田土壌の管理法として有望視されている間断灌漑は、酸化状態と還元状態が短期間で繰り返さ れ、水田土壌中の土壌微生物群集は大きく攪乱されることが予想されるため、土壌微生物群集に対す る影響を水管理の違いによる土壌微生物群集が担う機能の変化と土壌中の養分循環への影響を把握す ることは重要である。