ALOS-2コヒーレンス時系列を用いた災害被災域の抽出の試み

摘要

天候や太陽光等の影響が少ない合成開ロレーダ(SAR)から得られる災害被災域抽出結果は、行政機関などが行動を判断する上で重要な情報の一つとなりつつある。SARを用いた被災域抽出は、強度画像を用いた解析やコヒーレンスを用いた解析などがある(Plank, 2014)。強度画像を用いた解析の場合、建物倒壊域などは強度の変化が少なく抽出できない場合があり、コヒーレンス解析を併用した方法が提案されている。強度と位相情報を使用することで、強度変化に加えて、倒壊による高さ変化を考慮でき抽出感度が高くなることが特徴である。建物倒壊域の解析では強度画像ではなく、コヒーレンスのみを用いた解析も提案されている（例えばYun et al.,2015など）。しかしこの解析は3時期のデータを用いた解析が主であり、季節変動によるコヒーレンス変化を十分に除 去できないという課題がある。季節変動の影響除去には、3時期以上のコヒーレンスを利用することが必要と考えられる。そこで本研究では、3時期以上のデータで時系列的にコヒーレンスを利用することで災害抽出結果を向上させることができるかどうか検証する。