水蒸気ライダー及びウィンドプロファイラの観測システムシミュレーション実験

摘要

気象研究所では、降水量予測の高度化を目的として、水蒸気ラマンライダーによる水蒸気観測データを用いた、データ同化手法の開発を進めている。ライダー観測によりGNSSでは得られない、水蒸気鉛直プロファイルを連続的に得られ、降水量予測の精度向上が期待できる。気象研究では、つくばに設置している水蒸気ライダーに加え、乗用車で牽引できる可搬型水蒸気ライダーを開発し、つくば市や神奈川県、東京都の沿岸部で水蒸気の鉛直プロファイルの連続観測を主に暖候期に実施している(Sakai et al.，2019)。つくば市で観測した水蒸気の鉛直プロファイルデータを用いて同化実験を行い、データ同化により水蒸気場の推定精度が向上することを示した。(Yoshida et al.,2018)。本発表では、水蒸気ライダーとウィンドプロファイラの観測システムシミュレーション実験(Observing System Simulation Experiment; OSSE)を行う。OSSEとは実在しない観測システムを計算機上に構築し、データ同化において観測システムの効果を評価する手法である。本発表では、2014年8月20日未明に広島県で発生した大雨を対象とし、このような局所的な大雨に対して、水蒸気ライダやウィンドプロファイラの観測の有効性を示す。