端部に低弾性接着剤を用いたCFRP 板接着方法の静的強度試験

摘要

鋼橋の維持管理では、耐荷力や耐久性の向上のために当板補強を行う場合、当板は鋼材で作成し、ボルトで取付けるのが一般的である。鋼材は入手が容易で強度が高いが、例えば亀裂を覆う当板のような比較的小さな部材であっても、人力で取り扱うことが困難な重量になることが多い。また取付にはボルト孔を削孔する電動孔あけ機や発電機などの機材が必要であるため、定期検査やペイント塗り替えの延長で簡易に施工するようなことはできない。定期検査で疲労亀裂が発見された場合を想定すると、その場で亀裂進展を抑制または遅延させられる応急措置ができれば、その後計画的な修繕工事が可能となり、構造物の安全性を確保しつつ、予算やマンパワーを平準化させ効率的な維持管理を行うことができる。炭素繊維強化プラスチック（CFRP）は軽量かつ高強度な素材で、高性能な自動車や航空機などの構造部材として用いられており、近年、鋼橋の維持管理においても補修材料として注目されている。著者らもCFRP 板を用いた簡易亀裂修繕－すなわち定期検査時に亀裂を発見した場合の応急当板としての用途を想定し、その適用性について検討している。図１は従来の当板対策とCFRP 板による当板対策のイメージである。CFRP 板接着による当板補強では端部剥離対策が課題となるが、その方策の一つとして端部に低弾性接着剤を使用することが挙げられる。ここでは端部に低弾性接着剤を用いたCFRP 板接着の静的強度試験を行った結果について報告する。