難合成酸化物の低環境負荷·低コスト合成への挑戦： 拡散加速型反応焼結法および形態制御型溶液反応法

摘要

酸化物は、地上においてはもっとも安価かつ大量に得ることが可能であり、「機能性の宝庫」とも言えるポ テンシャルを有する物質群である。従来の試行錯誤的な合成にはじまり、結晶化学や状態図、熱力学などを 駆使した体系化が着々と進められ、最近ではMaterials Informatics と呼ばれる材料科学と情報科学の融合によ る材料設計も進みつつある。現在では、目的機能を有すると期待される複雑な酸化物を、分子線エピタキシ ー法（MBE）等で狙って作るということも可能となってきている。しかし、酸化物を学術的な「物質」とし てだけではなく、実用性·汎用性のある「材料」としてとらえた場合、コストは幾分度外視してでも力技で 原子を並べるというのではなく、いかに低環境負荷·低コストでスマートに目的物を合成できるか、という 観点が重要となってくる。