超臨界水中における透明酸化物半導体 CuAlO2の連続反応晶析

摘要

近年，透明酸化物半導体(TOCs)は液晶ディスプレイ， 透明トランジスタなど様々な用途で用いられている。 1997年に Kawazoe ら1) によって発見された CuAlO2は 他の金属のドープを必要としない p 型透明金属酸化 物半導体であり，次世代の産業基盤を担うと期待され る高機能性材料の一つとして注目されている。CuAlO2 の合成は，主に固相法や液相法により行われるが，反 応が高温かつ長時間であり，かつ有機溶媒の使用や粒 径·結晶などに代表される粒子特性の制御が低いと いった課題を残す。そこで近年，酸化物の溶解度低下 による高過飽和な反応場を提供可能な超臨界水が注目 されており，Sato ら2) は，回分法より反応時間および 溶解度調整剤濃度を操作因子として CuAlO2の合成を 行った結果，従来法と比較して比較的低温，短時間で 高結晶性 CuAlO2の合成を報告しているが，粒径や組 成の制御について検討は行われていない。 本研究では，超臨界水を反応溶媒とし，原料金属塩 水溶液の急速混合および昇温が達成可能な流通式反応 装置を用いた CuAlO2の連続反応晶析を目的とし， CuAlO2の単一相での晶析条件のみならず，粒径や組成 など均質な粒子特性を有する CuAlO2の生成条件につ いて検討を行った。