部分発達シリカ粒子ネットワークを有するイオン液体含有 高強度無機／有機ハイブリッドネットワークゲルの開発

摘要

当研究グループが開発したイオン液体含有無機／有 機 double network ゲル（DN イオンゲル）は大量のイ オン液体を含有する高強度ゲルであり、シリカナノ粒 子が数珠状に連なった剛直で脆い無機ネットワークと 柔軟な有機ポリマーネットワークの組み合わせによっ て優れた機械的強度を示す[1]。DN イオンゲルは 80 wt%のイオン液体含有量でも 25 MPa 以上の圧縮応力 に耐えうる優れた機械的強度を有するため、イオン液 体由来の性能を活かした CO2分離膜や二次電池の電解 質などへの応用が期待できる。DN イオンゲルはシリ カ粒子ネットワークの形成反応と有機ポリマーネット ワークの形成反応をイオン液体中で行なうだけの簡便 な方法で作製できる。最近我々は、各々のネットワー ク形成反応を同時に進行させた場合に、各々の形成速 度の順列によって全く異なる力学的特性を有する 3 種 類の高強度イオンゲルが選択的に作製できることを見 出した。本発表では、シリカ粒子ネットワークの形成 速度と有機ポリマーネットワークの形成速度がほぼ同 じ場合に作製できる無機／有機 micro-double-network （μ-DN）イオンゲル[2]のネットワーク形成機構なら びにその構造と力学物性の関係について報告する。