電気分解によるアンモニア水の窒素処理と水素製造

摘要

アンモニアなどの窒素成分を多く含む廃水の適切な 処理は，環境保全の観点から非常に重要である。一般 的な廃水中の窒素処理方法としては，微生物を用いた 方法が主流であるが，大型な設備が必要であることな どから各地に分散された畜産経営者等が処理システム を導入することは難しい。一方，電気分解を用いた手 法は，生物処理と比較して，設備の小型化，省エネル ギー化及び処理過程で発生する水素の回収が期待でき ることから，我々のグループではその実用化に期待を 寄せている。しかし, 高い効率で窒素処理を行うため には，多大なエネルギーを投入する必要があることが 課題である 1 。よって，低いエネルギー投入での窒素処 理が求められている。 そこで本研究では，モデル廃水としてアンモニア水 溶液を使用し，種々の条件下においてアンモニア水の 電気化学的分解を実施した。また，発生気体の質量 (MS)分析を行うと共に，サイクリックボルタンメト リー(CV)測定により電気化学反応特性の調査を行うこ とで，低い投入電力でのアンモニア水電解における反 応制御因子の探索を目的とした。