水酸アパタイトセラミックス人工骨および生体分子吸着カラム剤の開発

摘要

人の筋骨格系は主にナノサイズのアパタイト結晶状のリン酸カルシウムとコラーゲン繊維から構成されている。1970 年代にわが国でセラミックス人工骨が実用化してから約40 年が経過し、種々の組成、気孔構造、形状、剤形、操作性、吸収置換特性を有する人工骨が開発されてきた。はじめに、骨と直接結合するいわゆる骨伝導能（Osteoinduction）を有するセラミックスの合成、成型、加工、焼結技術が開発され、水酸アパタイトセラミックス（HAP）、ウォラストナイト含有ガラスセラミックス(AW-GC)や水酸アパタイト-βリン酸三カルシウム（βTCP）複合セラミックスを成分とする非吸収性の人工骨が製品化された。これらのセラミックスは非吸収性で体内に異物として残り、骨に置き換わらないため、乳幼児など成長期の患者への適用、術後長期経過後の再手術、生体骨との弾性率の違いに起因するストレスシールディングなどに対する課題があった。