加熱処理によるアコヤガイ真珠層の構造変化

摘要

アコヤガイの貝殻は外側に稜柱層、内側に真珠層と二層の構造からなる。稜柱層は CaCO_3のカルサイト，真珠層は同じくアラゴナイトを主成分として構成されている。稜柱層では有機膜に覆われた柱状の構造からなるのに対し、真珠層では有機物と交互にレンガが積み重なったような構造である。真珠層は約 95%以上のアラゴナイトと数%の有機物（主にタンパク質、チロシンとペプチド）から構成されている。本研究室では窒素や水素雰囲気におけるカルサイトのガス吸着を目的に、カルサイトを加熱処理しながら、その結晶構造変化を調査してきた。本研究では、もう一方の生物鉱物であるアラゴナイトに着目し、加熱処理を施し、その構造変化を調査した。