キャビテーション試験における変動圧力計測に関する一考察

摘要

伴流中で作動するプロペラから発生する非定常キャビテーションは，船体表面に誘起される変動圧力を著しく増加させる．そのため変動圧力の推定に関する研究は数多くおこなわれている．実験的予測法では，計測結果に影響を及ぼす様々な要素に十分注意を払うことで船尾変動圧力の翼振動数の1 次成分についてはある程度信頼できる結果を得ることができる1)．しかし，プロペラ翼面上に発生するキャビテーションは，プロペラが作動する条件の細かい違いにより変化する．例えば，水中の気泡核の影響などがある．また，計測系が十分に剛構造でなければ，計測系の振動により，計測される変動圧力に影響を与えてしまう2)．そのため，十分に信頼できる計測結果を得ることは容易でなく，キャビテーション試験において，プロペラが作動している条件の違いがどのように変動圧力に影響を与えているのか把握しておく必要がある．そこで本研究では，海上技術安全研究所の大型キャビテーション試験水槽において，水槽中の水中の気泡核を変化させた条件，プロペラ回転数を変化させた条件の変動圧力計測を実施した．本論文では，変動圧力における水中の気泡核の影響，プロペラ回転数の影響について考察し，その内容を示した．